【皮膚科医監修】皮膚の構造や働きを知って健康な肌を目指そう!

皮膚の構造や働きとは
●スキンケア

肌の悩みにあわせてコスメを選んだり、最新技術のアイテムを取り入れたりしているけど、なかなか効果を感じられない、自分の肌にあっているのかわからない…という経験はありませんか?
効果的なスキンケアを行うために、まずは肌について知ることから始めましょう!正しい知識でお手入れを行えば、健やかな肌を手に入れられるはず。今回は、スキンケアの基礎となる、皮膚の構造や働きについて解説します。

監修:荻野千晶先生(湘南かまくらクリニック/皮膚科専門医)

皮膚の基本構造をおさらい!

皮膚の構造や働きとは

皮膚は、人体最大の臓器とも呼ばれる、身体全体を覆う器官。水分保持をしたり、外部からの異物の侵入を防いだり、それ以外にも皮脂や汗の分泌、体温調節、知覚など多彩な働きをしています。皮膚は大きく分けると、表皮・真皮・皮下組織の3つの層から成り立っています。

皮膚のしくみと働き

表皮(約0.2mm)

皮膚の構造や働きとは

目に見える一番外側の層。上から順に、角質層・顆粒層・有棘層・基底層という4つの層からなり、それぞれ形の違う角化細胞で構成されています。外部からの刺激をシャットアウトして皮膚内部を守るという役割を持っています。
健康な肌を保つために「ターンオーバー」を整えることが大切と聞いたことはありませんか?この「ターンオーバー」というのは表皮でおこる細胞の生まれ変わりを言います。
まず一番下の基底層で基底細胞が細胞分裂を繰り返し新しく細胞を生み出して、有棘細胞、顆粒細胞と形を変えながら約2週間で角質層となります。角質層は約2週間、皮膚の保護という大役を担い、役目が終わると垢となってはがれ落ちていきます。
表皮の生まれ変わりは、約28日間が理想とされていますが、加齢に伴い「ターンオーバー」にかかる日数も伸びて30〜40代では45日、年齢を重ねるとさらに伸びると言われています。

各層の特長

皮膚の構造や働きとは

・基底層
基底細胞でできた表皮の一番下の層。新しい角化細胞を生み出す働きがあります。この層には、メラニン色素を作り出す細胞もあり、メラニン色素は紫外線から身体を守る働きをしますが、メラニン色素が蓄積するとシミの元になることも。

・有棘層
基底細胞の分裂で生まれた細胞が有棘細胞となり、層になって皮膚の厚みをつくります。

・顆粒層
角質層のすぐ下にあり、顆粒細胞からなる層。
角化細胞が基底細胞→有棘細胞→顆粒細胞と変化していくターンオーバーの過程でセラミドやNMF(天然保湿因子)などの保湿成分をつくり出しています。

・角質層
顆粒細胞が核を失い、10~20層重なって角質層をつくり、ターンオーバーの過程で作られた保湿成分と共にうるおいに満ちた膜となりバリア機能を発揮します。角質層表面を覆う皮脂と汗が混じりあった皮脂膜も強力なバリアになります。ターンオーバーの最終段階で角質層は垢となって少しずつ剥がれ落ちていきます。
角質層の厚みは約0.02㎜とわずかラップ1枚程度ですが、外界にさらされ皮膚内部を守るという大切な役割を担っています。

真皮(約1.8mm)

皮膚の構造や働きとは

表皮の下にあり、皮膚のハリや弾力を保つ部分。コラーゲン線維、エラスチン線維がはりめぐらされその間をヒアルロン酸などが満たしています。ヒアルロン酸はスポンジのように水分を抱えて弾力を作っています。これらが十分に存在することで、ハリや弾力、うるおいをキープします。年齢を重ねるにつれて、これらは減少して働きも衰えていくので、ハリも弾力も失われていきます。

皮下組織

真皮の下にあり、皮膚と骨や筋肉のつなぎ目になっている層です。皮下脂肪でできており、身体を衝撃から守るクッションのような役割をしたり、体温を保ったり、エネルギーを蓄えたりしています。

健やかな肌を保つためのスキンケアとは?

皮膚の構造や働きとは

「健やかな肌」とは、トラブルを寄せつけず、ゆらぎのない状態。すなわち皮膚がスムーズにターンオーバーを繰り返して、皮膚本来の保湿機能を保ちつつ、角質層がバリア機能をしっかり果たせる状態です。かつ、見た目もくすみがなく透明感やみずみずしさであふれていたら最高ですよね。
肌を健康に保つことで、肌老化のスピードを遅らせることにもつながります。ここからは、健やかな肌をキープするため、取り入れたいスキンケア方法をご紹介します。

角質ケア

表皮のターンオーバーが乱れると健やかな角質層が形成されず、バリア機能が働かず肌荒れにつながります。
加齢などによりターンオーバーが長引くと角質層が蓄積してごわついたりくすんだりしてきます。そんな時はふきとり化粧水や、ピーリング成分を配合して余分な角質を優しく除去できる化粧品などを使うのもよいかもしれません。
日焼けをしたり肌に炎症がおきたりしてターンオーバーが短くなっても角質層は荒れてきます。そんな時に角質を除去しようとするとかえって悪化させる可能性もありますので、丁寧で優しいスキンケアをしながらターンオーバーが整うのを待ちましょう。うまくいかない時は皮膚科を受診してください。
特に顔の角質層は薄くデリケートな層ですので優しく取り扱ってください。

保湿ケア

ここまで読んでいただいて、健やかな角質層を保つことがスキンケアの基本になることがお分かりいただけたかと思います。うるおいをたっぷり抱えて肌のバリア機能を高めるためにも、やはり欠かせないのは保湿なんです。水分を与えるだけでなく、油分でフタをして、うるおいを逃さずキープしましょう。
基本のお手入れは、化粧水・美容液・乳液やクリーム・UVケアの順。水分から油分へ順番に重ねていくのがポイントです。化粧品によっては、化粧水の前に取り入れる美容液などもあるので、自分の肌や好みにあわせてセレクトしてみてください。

生活習慣

生活習慣の中にも表皮のターンオーバーを整えて健やかな肌をつくるためにできることが隠れています。
紫外線は避けること。精神的ストレスもなるべくためないようにしましょう。タバコや過度の飲酒も悪影響となります。十分な睡眠、バランスの良い食事も大事です。
スキンケアのみならず、コツコツと肌に良い生活習慣を積み重ねましょう。

最後に

皮膚の構造や働きを知ることで、自分の肌への意識も変わってくるのではないでしょうか?正しい知識やスキンケア方法で、健やかな美しい肌を目指しましょう♪

監修の先生

プロフィール写真

荻野千晶先生

<経歴>
山形大学医学部医学科卒業
横須賀市民病院、茅ヶ崎徳洲会病院、湘南鎌倉総合病院等
湘南かまくらクリニック 現在に至る

日本皮膚科学会認定皮膚科専門医

日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本東洋医学会
日本皮膚免疫アレルギー学会

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