【皮膚科医監修】春に肌がゆらぐのはなぜ?予防方法・スキンケアのコツとは
春は肌がゆらぎやすい季節。きちんとお手入れをしていても、赤みやかゆみ、乾燥、ニキビといったトラブルが増えやすくなります。そこで今回は、春に肌がゆらぐ要因や、正しい予防・対策方法にフォーカス。あたたかな季節を心地よく過ごすコツをご紹介します。
監修:荻野千晶先生(湘南かまくらクリニック/皮膚科専門医)
なぜ春は肌がゆらぎやすくなるの?
1.空気の乾燥
春は気温上昇とともに乾燥もやわらいでくる季節ですが、まだまだ肌の調子は安定しません。暖房を稼働させる日もあって室内の乾燥にさらされる機会も多く、肌はゆらぎやすくなります。
2.気温差
汗ばむほどの日もあれば、コートを着たくなるほど寒い日もあるなど、気温が変化しやすい春。昼と夜の寒暖差も大きく、身体がついていかないと思うときがありますよね。いわゆる自律神経が乱れた“寒暖差疲労”の状態だと、肌の調子もゆらぐことがあります。
3.紫外線の急増
1年をとおして紫外線は降り注いでいますが、3月ごろからその量が急増。その影響で、肌のゆらぎを感じる方もいます。紫外線の中でも肌の奥深くまで到達し、シワやたるみの原因になるUVA(紫外線A波)は、春に一番強いと言われており、日焼けや肌荒れを起こすUVB(紫外線B波)も降り注ぎます。
4.花粉や黄砂、PM2.5よる刺激
春、大量に飛散するスギ花粉は、皮膚の赤みやかゆみといったトラブルの要因に。顔や首など露出部位に花粉が付着することで花粉皮膚炎を起こす場合があります。鼻や目の症状がなく肌だけに出る場合があるので、花粉症の自覚がない人も要注意です。
また春には黄砂やPM2.5が飛来し、花粉と同じように肌を刺激することがあります。
5.マスクによる刺激
さらにこの時期は花粉症の予防やインフルエンザなど風邪の流行でまだまだマスク着用の機会が多く、いわゆる“マスク荒れ”で肌がゆらぐことも。
春、ゆらぎ肌になりやすいのはどんな人?
花粉症で目をかいたり鼻をかんだりしているだけでも皮膚が荒れがちに。そして、荒れた肌へさらに花粉などの刺激を受けると、悪循環に陥りやすくなります。
またホルモンバランスと皮膚は大きく関わっており、月経前や妊娠・出産期、更年期などホルモンバランスが変化する時期も、肌がゆらぎやすくなります。
ゆらぎ肌を予防するには?
1.スキンケアをする
肌がゆらいでしまうのは、外的刺激などによって肌を守るバリア機能が低下してしまうため。まずはバリア機能がしっかり働くような肌づくり、つまりはスキンケアが大切です。
刺激を避けるためにメイクしない、という方もいますが、乾燥や紫外線、花粉から肌を守るための対策は大切。肌が乾燥しないよう保湿をして、日焼け止めやBBクリームなどで肌を守るのがベターです。
ただし、メイクできないほどの肌荒れがある場合は、皮膚科を受診し医師の診断を仰ぎましょう。また花粉症がひどい場合は、内服等の治療で花粉症のコントロールをしておくことも大切です。
2.睡眠と食事の質を高める
スキンケアだけでなく身体全体の代謝を整えることも大切です。しっかり睡眠をとり、バランスのよい食事を心がけるだけでも、さまざまな刺激に対する免疫が高まり、ゆらぎにくい肌につながります。
肌がゆらいでいるときのスキンケアは?
1.洗い過ぎない・こすらない
肌がゆらいでいるときは、洗顔の仕方に気をつけましょう。過剰な洗顔は皮脂を取りすぎてしまい、こする行為は角質に刺激を与え大切なバリア機能が低下しがちに。皮脂は乾燥を防ぐ働きがあるので、肌に必要な油分は残すことが重要です。洗い上がりがしっとりとしている洗顔料を選んだり、肌のコンディションによってはぬるま湯だけで洗い流してもOK。肌に刺激を与えないようやさしく洗いましょう。
2.保湿を大切に
洗顔後には保湿をきちんと行って、まずは乾燥を予防。さまざまな化粧品がありますが、保湿力に優れているもの、刺激が少ないものを選ぶようにしてみましょう。今使っている化粧品でピリピリしたり強く刺激を感じたりするなら、一時的にワセリンなどの保湿剤のみにするなど、よりシンプルなケアに切り替えてみるのもおすすめ。
なお、化粧品は薬ではないので、スキンケアのみでよくならない場合は皮膚科を受診しましょう。
最後に
健やかな生活とやさしいスキンケアで、肌も気分も前向きに。ゆらぎと上手につきあって、あたたかな季節を楽しんでいきましょう。
監修の先生
荻野千晶先生
<経歴>
山形大学医学部医学科卒業
横須賀市民病院、茅ヶ崎徳洲会病院、湘南鎌倉総合病院等
湘南かまくらクリニック 現在に至る日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
日本皮膚科学会
日本美容皮膚科学会
日本東洋医学会
日本皮膚免疫アレルギー学会