エイジング世代に必要なフェムケアとは?デリケートゾーンのケアと骨盤底筋群のトレーニングもご紹介

●ビューティー&ヘルス

女性特有の健康課題を解決へと導くアイテムやサービスを指すフェムテック・フェムケアという言葉が知られるようになってきました。具体的には、生理管理アプリやデリケートゾーン用のケアアイテム、骨盤底筋群を鍛えるデバイスなどを指します。
特にエイジング世代は、加齢、女性ホルモンの分泌バランスの変化など、さまざまなことが要因となって不調が表面化しやすくなります。なかでも、デリケートゾーンと骨盤底筋群は意識したいキーワードです。

デリケートゾーンと腟は異なる部位

季節の変わり目や生理前、加齢、ストレスなどによる肌のゆらぎは、顔だけではなく、デリケートゾーンにも起きています。
デリケートゾーンとは、VIOとも呼ばれる外陰部を指すエリアの名称。ときとして、デリケートゾーンを腟内、腟と表現されていることがありますが、厳密には異なります。腟は体内にある臓器、生殖器のひとつであり、デリケートゾーンには含まれません。むしろ、デリケートゾーンよりデリケートな部位であり、その違いを理解したうえでセルフケアを行なうことが大切です。

腟内ケアは医療行為、デリケートゾーンはセルフケア

エイジング世代に必要なフェムケアとは

腟内のセルフケアは、基本的には必要ありません。なぜなら、自ら適した状態に整えようとする自浄作用があるからです。ただ、ストレスや食生活の乱れなどで、自浄作用が乱れことがあります。本来、無色・乳白色のおりものが茶色っぽい、おりもののニオイがきつくなった、デリケートゾーンがかゆいなどの変化が起きたときは要注意。腟内のケア(施術)は医療行為になるため、セルフケアでなんとかしようとするのではなく、2~3日様子をみても改善しない場合は婦人科の受診をおすすめします。
また、近年はフェムケアアイテムの発展によって腟内美容液も登場していますが、その多くが雑貨・雑品扱いとなっています。「今すぐなんとかしたい!」と、緊急で取り入れたいときは、医療レベルで作られているかどうかをチェックしてから。あらかじめリサーチしておくと、より安心して取り入れることができると思います。
そのうえで、デリケートゾーンをセルフケアするときのポイントは大きくふたつ。

1.専用のアイテムを使用する

デリケートゾーンをボディソープで洗って、しみた経験がある人もいるのではないでしょうか。それは、デリケートゾーンの肌のpH値が弱酸性なのに対して、ボディソープはアルカリの性質を持っているから。そのため、デリケートゾーンの肌状態にあわせて作られた、専用アイテムを使うのがベターです。
「使い分けはめんどう」「デリケートゾーン用アイテムを使うのは恥ずかしい」という場合は、ボディとデリケートゾーン両方に使えるタイプもありますので、そちらをチェックしてみてください。

2.洗浄と保湿はワンセット

デリケートゾーンは汗や皮脂などが分泌されていますし、キレイに拭いたつもりでも尿や便、経血が残っていることもあります。ニオイやかゆみの原因になるため、専用のウォッシュで洗浄して清潔さを保つことが大事。ゴシゴシとこすらず、指の腹を使って優しくなでるように洗ってください。
また、更年期を迎えると、エストロゲン(女性ホルモン)の分泌が少なくなることで、より乾燥しやすくなります。もし、乾燥によって専用のウォッシュでもしみる場合は、デリケートゾーン用の保湿クリームやバームを塗布して洗い流す形でケアしてみてください。そして、洗浄後は、顔や身体と同じように専用アイテムで保湿するまでがケアになります。

骨盤底筋群は意識して鍛える

エイジング世代に必要なフェムケアとは

もうひとつのキーワードである骨盤底筋群は、子宮や膀胱などの臓器を支えている、ハンモック状の筋肉です。筋力は20代がピークとされており、加齢の影響を受けているほか、過度なダイエット、運動不足、出産経験などでも状態を左右します。
骨盤底筋群は筋肉のみで構成されているとあって、鍛えないと衰える一方。衰えると、尿もれや子宮が腟から飛び出してしまう子宮脱の可能性を高めてしまいます。さらには、お尻の位置が下がる、太りやすくなるなどの体型の変化につながっていきますので、意識して鍛えることが重要です。
フェムケアアイテムの広がりによって、携帯アプリと連動してゲーム感覚で骨盤底筋群が鍛えられるデバイスなども登場していますが、家庭にあるフェイスタオルを使って鍛えることもできます。

やり方

1.フェイスタオルを筒状に丸めてイスの座面に縦向きで置き、お尻の中心にくるようにタオルの上に座る。
2.フェイスタオルを挟む込むように持ち上げるイメージで、内側に向かってお尻から腟まわりに力を入れて緩める。この動作を繰り返し、腟まわりを締める感覚を覚えよう。できる回数から始めてみて。

セルフケアと定期検診の両方が大事

デリケートゾーンのケアや骨盤底筋群のトレーニングは、セルフケアの領域です。セルフケアをしていると、いつもの状態を知ることにつながり、「なんかおかしい」という違和感に気づきやすくなります。もし、「いつもと違う」と思ったときは、婦人科を受診してください。
同時に、定期的な婦人科健診も重要になります。定期検診で健康状態を確かめながら、日々のセルフケアを行ってくださいね。

木川誠子さんプロフィール
フェムケアコンシェルジュ
株式会社k company代表取締役社長

出版社勤務を経て独立し、ウィメンズヘルス領域15年以上、フェムケア領域約10年の取材を重ねた知見と3000個以上のフェムケアアイテムを試してきた経験を活かして、フェムケア領域をメインにコンテンツ制作を行う。その傍ら、メディア出演や講演、イベントプロデュースなどを通して、『フェムケアは女性ホルモンを意識した健康習慣』を知っていただくための機会を創造。公認フェムテックマイスター・ライフオーガナイザー1級・アロマ心理

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