最近よく聞く「美肌菌」。実際はどういうものなの?
最近「美肌菌」というワードをよく耳にしますが、どんなものでどんな働きをしているのか、皆さんご存知でしょうか?「なんとなく肌によさそう」というイメージの方も多いかもしれません。
そこで今回は「美肌菌」について、ビューティサイエンティストの岡部美代治さんに詳しくお伺いしました!
Q:そもそも美肌菌とは?
A. 皮膚常在菌の中で、美肌に役立つ働きをしている菌のことです
私たちの体内には、たくさんの細菌や微生物が棲んでいます。よく知られているのは腸内ですが、ほかにも全身のあらゆる場所に生息していて、中でも肌にいるものを皮膚常在菌と呼んでいます。
美肌菌の定義はメーカーや専門家によって異なりますが、皮膚常在菌の中でも害がほとんどなく、美肌のために機能しているものを指す場合が多いです。
Q:美肌菌(皮膚常在菌)は主にどんな種類があり、どんな働きがありますか?
A.保湿成分をつくる表皮ブドウ球菌などが上げられます
皮膚常在菌は数百種類に及び、特に割合が多いものは20~30種類。その中でも、健康的できれいな肌に多いとされているのが表皮ブドウ球菌で、保湿成分グリセリンをつくる働きがあります。こちらを美肌菌としていることが多いですね。
また、皮膚常在菌が出すさまざまな物質が免疫機能をサポートするといわれており、抗菌ペプチドもその一つです。
Q:美肌菌(皮膚常在菌)は肌のどこにいますか?
A.角層のすき間や毛穴など、肌の奥まったところにいます
菌は水分がないと生きていけないので、肌表面のつるんとした部分にはなかなか定着しません。角層のすき間や毛穴など、皮膚の奥にしっかりと入り込んでいます。そのため、手を洗ったり、こすったりしても簡単に取れることはないです。
また、スペースが限られているので急激に増えることもなく、その中でさまざまな皮膚常在菌がバランスを保ちながら生きています。
Q:美肌菌は、増えれば増えるほどよいのでしょうか?
A.皮膚常在菌がそれぞれ中立を保つことで健康的な状態に
美肌菌は、たとえ肌表面に塗ったとしても簡単に増やせるものではありません。また、美肌菌だけで肌をいっぱいにする、ということも不可能です。
皮膚常在菌の中には、アクネ菌や黄色ブドウ球菌などトラブルの要因になるものもいますが、これらも肌にとっては必要な存在。美肌菌と中立を保つことで、健康な状態を維持することができます。
一人ひとりの肌にあったバランスで、それぞれの皮膚常在菌がおだやかに過ごしている状態がベストと言えます。
Q:美肌菌(皮膚常在菌)のバランスを整えるためには?
A.肌を清潔にして保湿!正しいスキンケアを
皮膚常在菌のバランスを整えるためには、うるおいを保って肌のバリア機能を守ることが1番です。そのためには、クレンジングや洗顔で肌を清潔にし、しっかり保湿をしましょう。
また、睡眠不足やストレスなども影響するため、できる範囲で生活習慣の見直しを。
Q:敏感肌のお手入れで気をつけたいことは?
A.肌トラブルが続くときは、医療機関の受診を
敏感肌の場合も、基本的なお手入れは普通肌と同じです。ただし、肌トラブルが起こると皮膚常在菌のバランスが崩れやすくなります。
長引いたり、繰り返したりする場合は早めに医療機関を受診し、まずは健康な状態へ整えるようにしましょう。
Q:いわゆる「美肌菌に着目した」化粧品は、どんな効果が期待できますか?
A.安定した保湿効果が期待できます
先ほどもお伝えしたように、皮膚常在菌のバランスを整えるためには、肌を清潔にすること、しっかり保湿をすることが大切です。
いわゆる「美肌菌に着目した」化粧品は、安定した保湿効果が期待でき、美肌菌の働きをサポートする発酵エキスなどを配合しています。
美肌菌のバランスを整えて、健やかなコンディションに
「肌環境を守ることは、皮膚常在菌の多様性を守ること。そういった意味では、地球環境と生物の関係に似ています」と岡部さん。
この機会にスキンケアや生活習慣を見直して、皮膚常在菌がおだやかに過ごせる肌環境を目指してみてはいかがでしょう。
監修の方のご紹介:ビューティサイエンスの庭・岡部美代治さん
ビューティサイエンティスト/化粧品開発コンサルタント
山口大学文理学部理学科生物学卒業後、化粧品会社にて商品開発やマーケティング等を担当。
数多くのヒット商品を手がける。
2008年4月独立し、現在は「ビューティサイエンスの庭」で美容業界へのコンサルティングを運営。
科学的な視点から解説する美容アドバイスは美容業界でも多くの支持を集めている。
http://www.beautysci.jp/index.html