疲労感・倦怠感・無気力感…更年期特有の“ダルさ”対策を専門家に聞きました!

年齢を重ねて、これまではなかったような疲労感や倦怠感がある、気力が出ない…と思ったことはありませんか? 実は、そんな“ダルさ”にお悩みの更年期世代が多いのだそうです。
今回はその特徴と対策を、更年期トータルケアインストラクター・永田京子さんに教えていただきました。
Q:なぜ更年期に疲労感・倦怠感・無気力感が増すのでしょうか?
A:女性ホルモンのひとつ・エストロゲンの分泌量の低下が関係しています。
更年期は、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌量が減少します。エストロゲンは、心の安定や自律神経のバランスを保つ働きがあるので、減少することで心身のバランスが崩れやすくなり、疲労感・倦怠感・無気力感などの体調不良が引き起こされることがあります。
ちなみに、更年期とは、閉経の前後5年ずつをあわせた10年間をさします。個人差はありますが、 日本人の平均閉経年齢はおおよそ50歳なので、40代後半〜50代の心身の不調は、更年期のホルモン変化によるものである可能性があります。
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しかし、これらは更年期によるものだけでなく、うつ病や甲状腺の病気、生活習慣の乱れ、季節や気温、日照時間の変化など、ほかの要因でも引き起こされる場合があります。
Q:更年期に疲労感・倦怠感・無気力感が増しやすい人は?
A:ホルモンバランスの変化に敏感な方・ストレスが多い方は気をつけましょう。
ホルモンバランスの変動に敏感な方
エストロゲンの分泌量がダイナミックに変動するのは、更年期だけではありません。月経前、妊娠中・出産後などに調子を崩しやすい方は、ホルモンバランスの変化に敏感。更年期も不調を強く感じやすい傾向があります。
環境変化やストレスが多い方
更年期は、親の介護や子供の巣立ち、仕事での責任などの環境変化が起こるタイミングと重なりがち。長期間のストレスや過度なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、不調を増幅させる要因となることがあります。
生活習慣が乱れている方
不規則な生活リズム、運動不足、睡眠不足、栄養の偏りなど、生活習慣が乱れると不調も出やすくなります。なんだか疲れが続く…と思ったら、すぐに対策をしてみましょう。
Q:通院するならどの診療科を選べばいいですか?
A:症状にあわせて選んでみて。ガマンは禁物です。
婦人科
明らかな更年期症状があるとき、40歳を過ぎてはじめて軽度のうつ症状(希死念慮のないもの)を感じるとき。
心療内科や精神科
主に、気分の落ち込みや不安、イライラなどの精神的な症状があるとき、内臓の疾患といったような体の病気がないのに、辛い状態が続いているとき。
内科
主に、全身のだるさや頭痛といった、身体的な不調を感じるとき。
ちなみに、受診した病院で医師との相性があわないと感じる場合は、通院をやめるのではなく、曜日を変えて別の医師に相談したり、病院を変更したりしても大丈夫です。
なお、仕事や家庭の事で大胆な決断をする際は、焦らずに、できるだけ体調のいいときに考えるのがおすすめです。ご家族や信頼できる友人に状況を伝えてみるだけでも、心が楽になるかもしれません。
Q:どんな薬が処方されますか?市販薬についても知りたい!
A:症状にあわせてさまざまな種類の薬が処方されます。用法・用量を守りましょう。
ホルモン補充療法(HRT)
エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンを補充することで、更年期症状を緩和します。飲み薬、貼り薬、塗り薬などさまざまな種類があります。
抗うつ薬
気分の落ち込みや不安などの症状に処方されることがあります。
睡眠薬
睡眠障害に対して処方されることがあります。
漢方薬
体質や症状にあわせて処方されることもあり、全身の調子を整える目的で用いられることが多いです。
市販薬について
飲みあわせもあるので、用法・用量を守り、複数の薬・サプリメントの併用に注意しましょう。特定の成分の過剰摂取を防ぐことも大切です。
また、持病やアレルギーがある場合や、効果が感じられなかったり、副作用を感じたりする場合は、医師や薬剤師に相談してください。
Q:疲労感・倦怠感・無気力感に対して、日常でできる対策は?
A:基本は、運動・食事・生活習慣を意識することです。
運動
軽い運動は更年期の不調を軽減する効果が認められています。ウォーキングや簡単なストレッチなどを日常的に取り入れてみましょう。また、筋力や体力がつくことで疲労感・倦怠感の予防にもつながります。
食事
体や骨を守るために必要な、タンパク質・ビタミン・ミネラルを不足させない食事を心がけましょう。いわゆる“バランスのとれた食事”を意識できていればOK!
生活習慣
“睡眠時間を確保すること” の優先順位を高くしましょう。
また、気のあう人とコミュニケーションを取ったり、ストレス解消法を見つけたり、趣味に夢中になったりといった、日常の“楽しみ” を行うことも大切です。
生活習慣の改善は、よりすこやかな心と体作りにつながるもの。 自分自身が快適に過ごすための“ストレス管理” の技術を身につけておくのもおすすめです。ただし、生活習慣を改善しても不調に変化がない場合は、医療機関を受診してみましょう。
更年期には終わりがあります!
更年期は、心も体も大きく変わるとき。疲労感・倦怠感・無気力感などの有無やその大きさも、一人ひとり異なります。人と比べるのではなく、まずは自分自身を大切に。辛いと感じるときは、家族や友人と一緒に正しい情報を知ったり、話を聞いてもらったりするだけで救われることもあります。
そして、更年期にはかならず終わりがやってきます。できるだけ前向きに、自分を見つめるチャンスにしていきましょう!
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永田京子さんプロフィール
NPO法人ちぇぶら代表理事 更年期トータルケアインストラクター
更年期を迎える女性の健康サポートを目的とした「ちぇぶら」の創業者。
1,000名を超える女性たちの調査や医師の協力を経て “更年期対策メソッド”を研究・開発・普及。述べ4万人以上が受講している。
著書「ふりまわされない!更年期(旬報社)」、「はじめまして更年期(青春出版社)」、「女40代の体にミラクルが起こる!ちぇぶら体操(三笠書房)」NPO法人ちぇぶら
https://www.chebura.com/
YouTube 「ちぇぶらチャンネル」
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